半導体株調査部

半導体株の分析と投資実践

インテル株について徹底解説

 

今回は、2019年で世界1の半導体メーカーのインテルが少し様子が変なので、その不穏な流れによって恩恵を受ける銘柄とそうでない銘柄についてまとめていきたいと思います。

もくじ
  • インテルとは
  • TSMCの独走状態
  • 恩恵を受ける銘柄
  • やばい銘柄

 

インテルとは

 半導体売上世界で1位の超大企業

長らくPCやのチップやサーバーはほとんどインテル でした。

インテルのチップやサーバーが無ければ世の中動かないという状況になっています。

インテルは技術力が非常にある企業なので、ここまで成長できたと言えます。

常に彼らの技術進化はチックタックと呼ばれる2年周期でプロセスノードを進化していました。2年に1回製造技術を進化させて、2年に1回半導体の設計を進化させるという流れをとっていました。しかし、それが限界に来ているのではないかというのがここ数年のインテルの異変です。それが明らかになったのは、ついこの前の決算です。

 

 

f:id:broandsis:20200814170311p:plain

こちらが過去5年のインテルの株価の推移ですが、コロナショックから半導体株は戻って切り上がっているのに対して、インテルは一時的に戻ってはいたのですが直近では決算で大きく落ち込んでしまいました。決算の業績自体は悪く無くなかったのですが、机上に問題な点が明らかになりました。

 

f:id:broandsis:20200814170721p:plain

この前の決算発表で、彼らの技術進化(チックタック)のペースが、さらに落ちてしまうということがわかりました。インテルの技術開発がうまくいっていないということが露呈してしまったのです。

具体的にどういうことかというと、彼らは製造する際の最小加工寸法をプロセスノードと呼んでいます。このプロセスノードが短くなればなるほど、先端の製造プロセスになります。

しかし、この資料を見ると14nmというプロセスノードを2014年〜2018年まで使っていました。かつては2年に一度プロセスノードを小さくしていっていたのですが、直近は5年間に渡って14nmに止まっています。そして市場からは技術開発に限界が来ているのでは?と心配されていました。

2019年にやっと次の世代、10nmが出てきました。そして10nmから7nmに進化するはずでしたが、今回の決算では7nmの開発の雲行きが怪しく、また技術進化が遅れてしまうという発表がありました。そして、開発がうまくいっていないので、TSMCに委託するというような、自社で全て製造する以外の選択肢も真剣に考え始めているとコメントしました。

 

インテルの強みである、技術開発力と製造力が限界に来ていて、

競合に頼っていくしかないという危機的な状況にあるというのが今回の決算で明白になってしまったので、株式市場も株を投げ打ったというやばい状況になっています。

 

一方これで誰が得をするか?ですが、

やはり一番のライバルTSMC(台湾)です。

TSMCはファウンドリ(下のブログでファウンドリについてわかりやすく説明しているのでご参照ください!)という業態で一位ですが、

 

www.kogatakabu.com

 

インテルは自分が販売する半導体のために自分で設計、製造していくというすべて自社で担うという会社です。

一方で、TSMCは自社では受託製造という事業形態になります。

インテルとTSMCは事業形態を見ると直接的には競合はしていないですが、先端の半導体を製造できるのはインテルかTSMCの2社なので、製造面ではライバル争いをしていました。

しかし、現在TSMCのプロセスノード5nmで製造しています。過去、インテルはTSMCの5nmはインテルの7nmに相当していると発言しています。

しかし、インテルは10nmから7nmになるのにかなり手間取っていて、TSMCは現在5nmの開発に成功しているので、そういったところでもTSMCの方が進んでいると言えます。

TSMCの顧客:AMD(アメリカ)、ARM(イギリス)、NVIDIA(アメリカ)、クアルコム(アメリカ)など

インテルの競合を一手に引き受けているのがTSMCになります。

そういった競合から開発面や相談やサポートを受けています。

TSMCの設備投資ですが、2020年の計画は$160億〜$170億(1兆円超)と巨額な設備投資です。一方インテルは$150億ドルですが、TSMCの方が余力があります。

 

こちらがTSMCの過去5年の株価の推移位です。

f:id:broandsis:20200814175158p:plain

先ほどインテルの商会の際に株価推移もお見せしましたが、上チャートのTSMC株は対照的です。

株価は企業の状態をよく表しています。株価が落ちていくインテルと、登っていくTSMCというようになっています。

この見通しは角度が高くなりそうです。

今までお話ししたようにTSMCはずっと成功をしていて、インテルは技術開発に難儀しているという状況が続いています。

 

で、結局は誰が恩恵を受けるんだとなりますね。前振りが長くなり申し訳ございません。けど、これを知っておくとこれからの半導体株投資に役立ちます。

 

インテル下がり、TSMCが上がると恩恵を受ける企業

 

プロセッサ:AMD、ARM(ソフトバンクGP)

彼らはインテルが先端のプロセッサを製造するのに遅れをとると、製品が売れます。

彼らはTSMCにおいて製造キャパシティを確保しているので、半導体を出せるというようになっています。なのでこちらの2社がシェアが上がっていくことが予想されます。

製造装置や材料のメーカー:TSMCおいてシェアが高くて、インテルとはあまり取引がない企業

 

 

 

オルガノ(6368)…知る人ぞ知る会社

水回りの装置を扱っている会社を紹介になりますが、こちらはよく資料を読むと台湾にエクスポージャーが高く、TSMCに非常に強いです。

SCREEN(7735)…有名ですが安定

TSMCに強いというイメージがあります。インテルにもビジネスがあって、必ずしもTSMCというわけでは無いのですが、株式市場ではそういう認識されているので、こちらにも挙げておきます。

 

インテルが凋落してしまったらやばい株

 

 インテルが良い顧客であれば、インテルが苦戦して中長期的にシェアを失うと投資が目減りするという企業です。

ニコン(7731)、日立ハイテク(上場していませんが)

 ニコンはカメラでもかなり苦戦していて、且つ露光装置という装置をインテルに納めていて、取引先で大きな会社はインテルしかいないのでかなり危ない状況です。

・イビデン(4062)

・新光電気工業(6967)

 電子部品に近い企業ですが、パッケージングをインテルに提供しています。

 

以上、インテルが凋落してTSMCが昇り詰めるという現在の流れが続いていくと恩恵銘柄と危険銘柄を紹介しました。

 

今回は銘柄紹介まで長かったですが、これらを知っておけば中長期的に見てインテル銘柄に気を付けることができますし、TSMC銘柄は持っておきたいというように考えることができます。

例えば、インテルが決算で悪い数字を出した際には、

ニコンやイビデン、新光電気工業などの銘柄は売られてしまうので、

先にショートでき、危機回避をすることができます。

逆にTSMCに関していいニュースがあれば、オルガノをロングするなど、

プロ的な投資ができるようになると思います。

 

今日も最後まで呼んでくださりありがとうございました!

株式投資がんばっていきまっしょい!

半導体株や半導体業界を勉強するなら下記の本がおすすめです。

「半導体が工場でどうやって製造されるのか?」、「半導体工場は水や電力等のインフラはどうしているのか」「半導体製造装置はどのように並べられるのか」、等ネットでは入手できない知識を得れます。 

私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。