こんにちは、半導体調査部のうみがめです。
今回はディスコ株についてご紹介していきたいと思います。
目次
- ディスコとはどんな会社か?
- どうしてIoTの恩恵を受けるのか?
- 独自な社風
- 競合は?シェアは?
- 強みは?
- 買い時はいつか?
- 長期投資家のための投資戦略
ディスコとはどんな会社か?
ディスコ株は日本有数のIoTの恩恵を受ける企業です。
IoT=Internet of Things(モノがデータを交換する)
今後の世の中、今よりもデータ通信が主流になってIoTの進化も加速していきます。
なので、ディスコもその進化によって恩恵を受ける銘柄のひとつなので今回ご紹介していきたいと思います。
こちらがディスコの長期株価の推移です。
ディスコはドットコムバブル(1999〜2000年頃)に2万円株価をつけていて、約20年間ピークを更新できていませんでしたが、2018年に更新することができました。
更新まで20年はかかり過ぎではないかと思われるかもしれませんが、ドットコムバブルの時の評価はインフレートされていました。
それを裏付けるのがこちらのソフトバンクの株価の長期推移です。
こちらはドットコムバブルの2000年頃高値がついてから、まだ更新されていません。
いかに当時異常なバリュエーションがついていたかがわかります。
ディスコとは
1937年、広島呉市で創業(元々は砥石の事業をしていました)
現在は半導体装置関連が売上の90%以上を占めています。
ある装置では世界シェアトップという業績を持っている企業です。
扱っている製品は?
半導体を「切る、削る、磨く」製品を扱っています。
・ダイサー(切る装置)
・薄く削る(削る・磨く装置)
・消耗品
大きく分けてこの3つの分野を取り扱っています。
半導体製造の流れは、シリコンウェハを(サムコや信越化学が製造している製品)をたくさんの精密な加工をして小さなチップにしていきます。
①薄くする作業
上図は、グラインダーと呼ばれる装置でウェハを薄くしていきます。
まず、ウェハを左下の2つの筒状のグラインダー装置で挟んで薄く磨くイメージです。
このように薄いウェハを作れることによってスマートフォンの薄化などが実現できます。
上図のダイサーという装置で前過程で薄くしたウェハを下の図の様に切っていきます。
装置の中にウェハを入れて、ブレードと呼ばれる消耗品で、一つ一つの半導体チップに切っていきます。
また、切る・削るための消耗品もディスコは製造しています。
例えばダイサーで切るときに使われる消耗品として下図のブレードがあります。
なぜIoTの恩恵を受けるのか?
IoTで需要が増えるモノ
センサ(アナログからデジタルデータに変えるモノ)
メモリ(そのデジタル化したデータを一時的に記録するモノ)
マイコン(デジタルデータを分析するモノ)
の3つがIoTデータ化によって爆発的に伸びると予想されるものです。
もっと簡単に言うと、半導体の需要が増えるということになります。
ディスコの製品の需要は半導体の数に比例し、
消耗品事業の需要が増え、IoTによって恩恵を受けます。
独自の社風
Will制度
職員一人一人がWillという制度をもとに、自分の収支をもっています。自分が仕事で成果をあげれば自分自身の売上になって、自分に対して他の社員に何かしてもらうとそれを費用として支払わなければなりません。
社員一人一人が損益計算書を持っているような企業です。
部署において硬直的な仕事をするのではなく、自分がどれくらい価値のある仕事をしているか、どれくらい人にお願いをしてるかを価値化できるようなユニークな社内制度をもっています。
シェアは?競合は?
シェア
装置(ダイサー、グラインダー)のシェアは80%と高いです。
一緒に使われる消耗品は圧倒的数値シェア90%です。
競合
東京精密…上場はしていますが、先ほど書いたようにディスコのシェアは80%を超えているので、こちらのシェアは低くなってます。
消耗品の圧倒的シェア
消耗品は装置を稼働させるには不可欠なものです。
蓄積されたノウハウ
ディスコは継続的にトップシェアで走っています。過去に蓄えたノウハウや知識をお客さんも安心して、相談や加工を任せることができます。
買い時はいつか?
受注の前年比マイナス幅縮小したときがいいと思います。
なかなか人間の感覚や感情的には難しいですが、受注の需要がマイナスになったときに絶好の買い時であることが多いです。
こちらが、ディスコの受注の推移ですが、黄色が受注です。
2018年度1Q〜4Q、2019年度1Qまで受注がかなり下がっていきました。
前年比で考えた場合一番厳しかったのは、2019年度の第1Qが最も減収をしています。
例えば前年比ー40%の大きいマイナス幅でも、ー30、ー20、ー10%と少しずつ緩やかになっていけば、たとえプラスに転換しなくても買っていいというサインだと思います。
株価の推移でみてみると、2019年のQ1とQ2のところで株価的には大きく下落しました。そのあと受注の方でマイナスは続いていても、マイナス幅が緩やかになっていくことで株価としては底打ちしているのがわかります。
売り時はいつか?
受注が前年比のプラス幅縮小に売るのがいいと思います。
短中期的な投資でしたら、プラス幅が30%だったときから、+20%、+10%と縮小してきたら売りのサインだと思います。
というのも、半導体の数量や付加価値は5G・IoT・AIで伸びていくモノです。
そのことを考慮するとあえて売る必要はない銘柄なのかなと思います。
長期投資家のためのディスコ株の投資戦略は?
長期保有するのであれあば、受注が前年比マイナスの時に買うのが一番いいタイミングだと思います。(最低でもプラスに転換したばかり)
直近ですと、2019年10・12月期や2020年1・3月期にプラスに転換しているので、8月現在ではもう少し遅いかもしれません。
そして大事なのは購入したら持ち続けることです。半導体はシクニカルな銘柄で、底で買って上で売ると言うのが基本ですが、ディスコのような会社は競争力やビジネスモデルを考えると長期で持っていても問題ないと思います。
また、半導体業界はサイクルがあり調整曲面が必ずきます。大事なことはその調整局面で売らずに買い増すことです。
このシナリオを考え直すべき時は、半導体がそもそも使われなくなるディスコのシェアが落ちるという時にはこの戦略は考え直した方がいいです。
しかし、これから半導体はこれから増えていきます。そして、ディスコのこれまでのシェアや体力をみると長期投資で問題はないと思います。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!
株式投資がんばっていきまっしょい!
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私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。