半導体株調査部

半導体株の分析と投資実践

ムーアの法則:半導体の進化はもう限界?!

 こんにちは、うみがめです。

今回は半導体の進化を実現してきたムーアの法則と

その限界説、今後の半導体業界の方向性をご紹介していきます。

 

 

ムーアの法則とは

 インテルの創始者の一人であるゴードン・ムーア氏が1965年に提唱しました。

約2年程度で半導体の集積度が倍になるという論説です。

半導体の集積度=同じ面積あたりのトランジスタの数ということで、半導体の性能に非常に重要なKPIです。

集積度の向上→半導体の進化は微細化によって達成してきました。

 

こちらがASMLという世界トップの露光装置メーカーが出している

半導体のアプリケーション別の技術進化の図です。

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 一番上のロジック(Logic)は特にデータの演算処理を行う最も重要な半導体です。

グラフをみていただくと20mn、16-14nm、、3nmと小さくなっており、小さくなればなるほど非常に微細な加工寸法で作れるので、同じ面積でもより多くのトランジスタを詰め込むことができるようになります。=微細化

(nmは10億分の1m 地球の直径を1mとした場合の1nmの長さは1円玉の半分の長さになります。これは微細ですね。)

2014が20nmでしたが、大体2年程度で少しずつ小さくなっているのが読み取れます。

その微細化はロジックだけでなく、DRAMでも行っています。2014年には28-30nmだったのが、2017年から現在まで、1X,1Y,1Zと10nm代に入ってきています。

しかし微細化をし続けている分野ばかりではありません。

スマートフォンやノートPCなどで使われるNAND flashという半導体は微細化を諦めています。その代わりに積層化(3D-NAND)というのを進めています。

 

微細化とは

レイリーの式という数式によって微細化は成り立っています。

これは解像度をあげていくとより微細な加工ができるという理論です。

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解像度は、λ(ラムダ)をNAで割ってK1ファクタというのもをかけたものです。

λ=光の波長、NA=開口度(レンズの大きさなどで変わってきます。)

K1=レジストのプロセス性能の変数

ここで明らかになるのは、光の波長をどんどん短波超化していくと、解像度が上がっていくことがわかります。

それがこれまでのムーアの法則の歴史でした。

 

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こちらが、露光装置での微細化(短波長化)をどのようにしてきたかを示した図です。

光の波長はi-line(アイ線)から始まって、KrFArF、現在はi-ArFになっています。

i-ArFは、ArFに水を垂らした液侵のイマージョンというタイプになり、ArFで光の波長は変えず、水によって開口度を変えているという技術です。

現在は、EUVという技術が一番新しいものとなっています。

青の折れ線グラフは最小の加工寸法(nm)となっています。2000年は120nmほどあったものが、現在では5nmまで微細化されています。

 

ムーアの法則の限界

このように微細化は素晴らしい技術者たちによって驚くような進化を遂げていましたが、ついにそれが限界にきているのではないかという懸念が年々現実的なものになってきました。

・微細化の周期の遅れ

微細化は2年に一度進化していくのが常でしたが、近年それが2年よりも長いスパンを経てから進む傾向が出てきました。

特に顕著に苦悩しているのがインテルです。特にこの微細化はCPUで起きてきた現象で、インテルが牽引してきたムーブメントでしたが、インテルの技術進化がスピードダウンしているのが顕著になってきました。

・分子の大きさに近く加工寸法

既に5nmもあと少しで分子の大きさレベルなので、物理的にも加工の限界が近づいてきています。

・コストの増大(EUV)

短波長化の究極的な方法としてEUVが使われていますが、このEUVが大変な価格です。

ArF系の露光装置と比べても4~5倍の値段です。EUVの露光装置は約200億円といわれています。そのため購入する側も慎重な意思決定をする必要がありますし、あまりにも高額なので販売市場自体あまり大きくないのもムーアの法則を難しくしている理由の1つです。

 

このように微細化の限界が現実味を帯びてきている中で、2つのムーブメントが起こっています。

①MOREムーア

・微細化を継続していく方向性:今でと同じペースで微細化をしていくのではなく、微細化を細かく刻んでいく(例7nm→5nm、4nm→3.5nm)

・EUVを多様していく:マルチパターン二ング(多重露光)

しかし、そうなると1台100億のEUV露光装置が何台も必要になってしまうので、コストの急増が起きます。これが可能なのはTSMC、インテル、サムスンくらいのコスト構造になってしまいます…

そうなると競争も落ちて、微細化のペースが落ちるのは必須です。

MOREムーアはTSMCが引っ張っているムーブメントですが、ペースは鈍化していくのが可能性の高いシナリオです。

②MORE THAN ムーア

・微細化以外の性能向上を志向する

・その例としてパッケージング技術の進化

TSMCのInFOと呼ばれるiPhoneの先端のものにパッケージング技術を適応しています。

他にもTSVなどの先端的技術のパッケージング技術を向上させて、半導体の性能を向上させようという試みです。

・シリコン以外の素材の探究・量子コンピューティング

少し時間軸が長くなってしまう話ですが、これらもMORE THAN ムーアのムーブメントに含まれると思います。

 

これまで2つムーブメントについてお伝えしましたが、どちらのムーブメントも継続してそれぞれの形で進化していくと思います。そこで進化の上で関連銘柄は普通の半導体株よりも成長していく可能性が高いので、恩恵を受ける銘柄をご紹介していきます。

・MOREムーア

EUVの関連銘柄がより重要に…!下の記事に詳しくまとめてあるので是非ご覧ください!

 

www.kogatakabu.com

 

 

・MORE THAN ムーア

パッケージング関連企業

ディスコ:半導体の薄化をするグラインダーを製造しています。MORE THAN ムーアでパッケージングが複雑になって、積層化が進むとディスコの製品が出てくるのではないかと思います。

イビデン、新光電気:インテルを中心にパッケージングの付加価値が高くなると、彼らの事業期待も高まるということで直近で思い切った設備投資をしています。中長期的には需要が高まることが期待されます。

 

 

今日はムーアの法則の限界?!をお伝えしました。

これからは模索期になるので、半導体関連銘柄は半導体製造で試行錯誤するため需要が高まりそうですね!どんな技術が生み出されるのかが楽しみです!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

これからもがんばっていきまっしょい! 

 

半導体株や半導体業界を勉強するなら下記の本がおすすめです。

「半導体が工場でどうやって製造されるのか?」、「半導体工場は水や電力等のインフラはどうしているのか」「半導体製造装置はどのように並べられるのか」、等ネットでは入手できない知識を得れます。 

私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。