半導体株調査部

半導体株の分析と投資実践

半導体製造装置株について徹底解説

こんにちは。うみがめです。

今まで様々な半導体関連銘柄をご紹介してきましたが、

今回は半導体製造装置入門編①ということで、もう一度基本を振り返り、

半導体製造装置株へ投資する際の何かヒントになると思うので、

是非最後までお付き合いください!

 

目次
  • 半導体製造装置とは
  • ムーアの法則
  • 前工程装置と後工程装置
  • 最も重要な「WFE」
  • シリコンサイクル

 

半導体製造装置とは

半導体とはトランジスタを持つ回路です。

トランジスタは0と1と切り替えることができるスイッチのような物です。 

このスイッチを切り替えることによって様々な半導体の処理が可能になります。

半導体の進化は、このスイッチの数が増えることでおこり、スイッチが増えれば増えるほど高速処理、低消費電力につながります。

例えば、ガラケー→スマートフォンに変化したことも半導体の進化があったからですね。

 

そして、この半導体を作るのはとっても難しいです。

トランジスタを製造する過程で数百のプロセス処理が必要になります。

こちらのプロセスでは様々な装置を繰り返しやっと通って完成します。

またプロセスが複雑なだけで無く、製造技術の難易度も高いです。

作る際の寸法はnm単位の加工(nmは10億分の1m)という非常に微細な作業が必要になります。

nmがどれだけ微細かというと、

地球の直径を1mとした場合の1nmの長さは1円玉の半分の長さになります。これは微細ですね。

それだけ細かな作業をするためには、小さな埃や塵もあると、装置製造過程において大問題なので、非常に高いクリーン度が求められます。

 

半導体製造装置は…

半導体を通じて人々の暮らし、社会の進化を支えられています。

その半導体の製造を可能にしているのが半導体製造装置なので、社会的付加価値も非常に高いです。

これからの機器の自動化やAIの進化に伴い、中長期の成長見通しも明るい分野になっています。

 

ムーアの法則

 ゴードン・ムーア氏が提唱した理論です。

彼はフェアチャイルドセミコンダクターやインテルに所属していた人物です。

彼は約2年程度で半導体の集積度が倍になるという理論です。

半導体の集積度(=半導体の決められたトランジスタの数)が倍になるという考え方で、これは2年程度で半導体の機能が大きく向上するというように置き換えれます。

このサイクルが起きるためには、半導体の微細な加工技術が求められますので、半導体がレベルアップすることで、半導体製造装置も精度が上がったという背景があります。

しかし、近年ムーアの法則が限界にきているのではないかという噂もあります。現在は、加工寸法が小さくなって原子レベルまで近づいている状況です。それを打ち破るためにEUV技術の向上、また全く違う方向に模索していくというのが今後の半導体及び半導体製造装置の課題になっていくと思います。

 

半導体製造の前工程と後工程

半導体製造では多すぎるプロセスを前工程と後工程というように分けています。

 

前工程=トランジスタ工程。これは回路を作りこむ工程です。半導体製造においての肝であり、技術進化が目覚ましい分野でもあります。半導体製造装置の花形です。

前工程措置メーカー(上場企業)

・東京エレクトロン(エッチング)

・SCREEN(洗浄)

・レーザーテック(検査)

前工程に強い会社です。

 

後工程

 後工程=前工程が終わった後に検査・パッケージングをする工程です。こちらは、肝になる部分が終わっているので前工程よりも付加価値は下がります

また後工程は、前工程を作った会社が他の会社に外注する場合もあります。

後工程装置メーカー(上場企業)

・アドバンテスト(テスタ)

・ディスコ(ダイサ)

・東京精密(プローバー)

などがあります。

 

前工程装置と後工程装置の比較

前工程装置のほうが、市場規模は圧倒的に大きく、

技術進化も前工程中心で起きていて後工程はどちらかというと既存のプロセスを確立していく傾向があります。

投資規模や業績をみても前工程がリードをしてきたのが現在までのトレンドです。

顧客の違い

前工程:トップ企業(例:インテル)中心

後工程:OSAT(後工程専門業者)など様々

 

このように半導体製造装置には前工程と後工程があることがわかりました。

投資する際にはその企業がどちらに分別されるのかを意識することが大事だと思います。

 

 最も重要なWFE

 WFE=Wafer fabequipment=前工程装置市場 です。

大手半導体製造装置が市場見通しの際に言及する言葉です。

例えば、決算などで「2020年WFEは前年に対して〇%増える」のように使われます。

なのでこれを追っていくと半導体製造装置市場の動向がわかります。

またこれは前工程装置市場ですが、後工程装置市場は6か月またはそれ以上遅行して同じ市場の動きをします。

半導体メーカーが、前工程後工程を一緒に進めるような会社だとしても、前工程装置を購入してからすぐに後工程装置を購入しません。なぜなら、前工程(=トランジスタ)を確実に製造することが確認されてから、後工程装置を買うのが一般的です。

 

下の記事は東京エレクトロンが2020年6月18日に開示した事業環境と業績予想 のスライドです。

f:id:broandsis:20200816153945p:plain

 こちらでもしっかりWFEに関して発言されていますね。

彼らはCY2020においてWFEに関して前年比10%程度の増加を想定していると記載をしています。なので、2020年に前工程市場が10%程度伸びるということです。東京エレクトロンもシェアが同等であれば、10%程度伸びると考えられます。

これが株式市場のひとつの業績でしたり、株価の期待値の目線になります。

例えば、ある事象が起こってこの10%程度の成長が難しいとなると、株価の業績期待値は調整しますし、逆にポジティブなことが起これば株価の業績は上にいくという可能性が高いです。

というように投資において株価や業績期待値の目線を知っておくことは大切になります。

 

シリコンサイクル

 ・半導体市場の好況・不況のサイクルがある

 好況の後には不況、不況の後には好況があります。非常に当たり前の話ですが、半導体というのは過熱しやすいです。これは市場もそうですが、投資家も過熱しやすく、好況のときは熱狂状態になります。もうずっと良くなるんじゃないか?と錯覚するほどです。しかし、最終的には不況がくるというのが過去の流れになっています。

投資家においては、現在好況と不況どこにあるのか常に意識しながら投資をすると非常に賢明な投資家になれると思います。

こちらが東京エレクトロンの過去の売り上げ前年比の成長率の推移です。

 

f:id:broandsis:20200816162529p:plain

 2012年3月期、2013年3月期、2020年3月期という風に間隔をあけて調整局面がきています。半導体製造装置市場というのは、右肩上がりの市場というよりは好況と不況を繰り返して、中長期的には伸びていく市場というように捉えることが大事だと思います。

そしてここで気を付けたいのは、2015年から2019年にかけてプラス成長が続いた時期がありました。この時期の最後のほうは「スーパーサイクル」と呼ばれ、半導体市場が非常に伸びて、調整サイクルは当面こないのでは?というような熱狂ぶりでした。しかし、結果的には2020年3月期にはちゃんと調整局面となっています。

 

投資家としてこのシリコンサイクルをどう考えるか

いつかはわからないが、いつかは必ず転換する

・業績及び株価が好調な時はしばらくつづく可能性はあるが、リスクも大きい点を認識しておきたい

・エントリー(買うタイミング)は業績悪化局面且つ減少幅が縮小している局面

 とはいえ、そんな局面をずっと待っているわけにはいかないじゃないか、特に半導体関連銘柄が株式市場を引っ張っているときはそんなこといってられないではないか。となりますよね、なので、私としてはそういう時期は半導体銘柄少しだけ買っておいて、がっつり買うのは業績悪化の局面を待つというのが投資戦略の一つとしていいのかなと思います。

 

以上、半導体製造装置の入門編でした。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!

夜になっても暑そうですね…寝る前も水分補給しっかりしていきたいと思います!

 

明日からもまた株式投資がんばっていきまっしょい!

 

半導体株や半導体業界を勉強するなら下記の本がおすすめです。

「半導体が工場でどうやって製造されるのか?」、「半導体工場は水や電力等のインフラはどうしているのか」「半導体製造装置はどのように並べられるのか」、等ネットでは入手できない知識を得れます。 

私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。