半導体株調査部

半導体株の分析と投資実践

東京エレクトロン株は買うべき?売るべき?

 

こんにちは、うみがめの半導体株式調査部です。

今回は東京エレクトロン株がなぜ下がっているか?

これから投資家としてどうするべきかを考えてみました!

目次
  • 現在の株式市場の期待値
  • 3つの問題点
  • これから私たちはどうするのか?

 

下のチャートは東京エレクトロンの過去1ヶ月の株価推移です。

この夏の決算では業績も非常に良かったのですが、8月に入って株価は調整していています。株価が下がっている理由はなんなのでしょうか。考えていきたいと思います。

 

f:id:broandsis:20200824113529p:plain

 

現在の株式市場の期待値

 

f:id:broandsis:20200824113345p:plain

 SEMIという半導体関連装置や素材などの半導体産業の国際工業規格の統一を目的に定めた規格団体があります。

 

f:id:broandsis:20200824113944p:plain

上の図がSEMが出している市場予想は、半導体の設備投資がどうなっているかという2011〜2021年までの10年間の過去実績と予想を表しています。

青の棒グラフは半導体の設備投資の絶対額、オレンジ色の折れ線グラフは前年比の推移となっています。

前年比が2019年の実績がマイナス9%だったのが、2020年は予想はプラス3%、2021年も予想はプラス14%となっていく上々なシナリオが描かれています。

そして設備投資の絶対額も2018年のピークを2021年には塗り替える予想を立てています。

 

そしてこちらが東京エレクトロンが決算で発表した内容です。

f:id:broandsis:20200824115200p:plain

CY2020では10%増しており、先ほどSEMIが発表した3%増を大きく上回った強気な数字を出しています。

 

また東京エレクトロンのアナリストの市場期待(コンセンサス)では…

f:id:broandsis:20200824122803p:plain

このように、2021年から2022年で営業利益が伸びるポジティブな市場期待値を示しています。

 

こちらは東京エレクトロンのレーティングです。

f:id:broandsis:20200824123047p:plain

非常に重要な銘柄なので、アナリストのレーティングの分布は強気一辺倒となっています。

 

このように世界の半導体業界団体、東京エレクトロン、アナリストそれぞれの専門家が株式市場のコンセンサス(期待値)が既に成長していくという結論に形成されています。

しかし、それでも株価が下がるのは期待値に対して何か問題点が浮上してきているのが理由です。

 

3つの問題点

高い期待値に応えられない問題点3つあります。

 ①メモリ価格

半導体設備投資の売り先でも4割りほどを占めているメモリですが、回復傾向にあったのが、少しずつ雲行きが怪しくなってきました。メモリ価格が上がれば、メモリ企業の収益はよくなり、投資をよくするようになります。逆に下がれば投資は滞ります。

現在はメモリ価格が下がってきているので、投資が滞っている状態にあります。

 

②ファーウェイに対する米国の規制

アメリカはファーウェイに対してTSMCなど半導体を販売禁止していたところにさらに、メディアテックなどの他の企業も販売を規制していく話も出てきています。

ファーウェイがスマホを作れなくなると、電子部品や半導体関連企業にも大きな影響が出てきます。特に、ファーウェイのためにロジックチップを作っているTSMCなどの関連企業はファーウェイ分の収益が無くなるので、来年のロジック投資に影響が出るのではないかと考えられます。

③米中摩擦

これは日本のメーカーにもチャンスがあるのではないかと言われています。事実中国のメモリ半導体企業は膨大な設備投資計画もあります。その恩恵を東京エレクトロンも現在は受けれています。

しかし、過去にはJHICC(中国)という企業が中国でDRAMを製造しようとしましたが、米国から制裁を重ねられて東京エレクトロンなどの企業もJHICCに搬入できなくなるということもありました。

日本企業はアメリカと足並みを揃える可能性の方が高いので、今後米中摩擦がエスカレートしてしまったら、東京エレクトロンの中国企業への搬入規制もかかってくるかもしれません。

 

これらの3つの問題は短期的なものと長期的なもの2に分けられます。

短期的

・メモリ、ファーウェイ

メモリは在庫調整のサイクルで価格が上がりきったところから下がっているところです。それでも年々世界でのデータ量は増えていて、情報を記憶するためのメモリは必需品なので調整があれば、復活もある短期的な問題です。

ファーウェイに関しては、このアメリカの規制により万が一ファーウェイがダメになってしまっても、世界におけるスマートフォンのニーズは変わらないので、どこか他のベンダーがシェアを伸ばすというのが中長期的には起こると思います。

長期的

・米中摩擦

米中摩擦はどちらの国もトップが、世界1位であることにプライドを持っているので、今後も続いていくと思います。米中摩擦についてはしたブログに詳しく買いてあるので是非みてください!

 

www.kogatakabu.com

 

これからどうしていくか?

 短期的には問題点があって、市場の期待値もそれなりに高いので

短期的には様子見をしていくのがいいと思います。

今買うよりかは、株価次第ですが、メモリやファーウェイの影響が織り込まれた年末から来年前半が買い時かと思います。

もちろんその前に株価が下がればそれは検討していい時だと思います。

逆に、ここから上がってしまったら逆に危険なので買わずに放置をしておいた方が良いともいます。

 

 

最後まで読んでくださりありがとうございました!

株をがんばっていきまっしょい!

 

半導体株や半導体業界を勉強するなら下記の本がおすすめです。

「半導体が工場でどうやって製造されるのか?」、「半導体工場は水や電力等のインフラはどうしているのか」「半導体製造装置はどのように並べられるのか」、等ネットでは入手できない知識を得れます。 

私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。