みなさん、こんにちは。
今回はディスプレイ株、有機EL・液晶などのディスプレイ(FPD:フラットパネルディスプレイ)業界と関連株についてご紹介します。
目次
- 液晶・有機ELと市場見通し
- ディスプレイメーカー
- 製造装置メーカー・部材メーカー
- 投資する際の注意点〜長期投資に適さない理由〜
液晶・有機ELと市場見通し
まず、液晶と有機ELとは何か?
実はiPhoneでも使い分けられています。
最新iPhone11Promaxでは有機ELを使っています。
一方でiPhoneSEと呼ばれる世代では液晶を使っています。
有機ELはOLEDと呼ばれ、液晶はLCDと呼ばれます。
液晶と有機EL(OLED)の違いは、
有機EL(OLED)は自発光をします。光の三原色の赤・青・緑が自ら光ります。
OLEDは、比較的最近できた技術です。
液晶は、バックライトという機能が光を出し、その光がカラーフィルターを通して、そこから光が色を帯びるということでOLEDに比べて多重に層が必要で複雑になり、熱も帯びやすい設計になっています。
有機ELのメリット・デメリット
有機ELのメリット
・薄い・軽い・フレキシブル
…液晶に比べてバックライト・カラーフィルター・ガラス基板が必要ないです。
・低消費電力
…バックライトが必要がないので省エネです。
有機ELのデメリット
・コストが高い
…製造方法が複雑でコストが高い。
・製造できるプレーヤーが限られている。
…製造装置を提供できる企業も少なく、競合が少ないため高単価になっています。
有機ELのメリットは、ハイエンドのスマートフォンなどは基本的には有機ELにシフトしてきています。
有機EL(OLED)を製造するパネルメーカー
・サムスンディスプレイ(韓国)
…iPhoneに使う有機ELをほぼ全部納めて世界のトップです。スマートフォン向けの精度の高い有機ELを製造できているのはサムスンだけじゃないかと言われる程です。
・LGディスプレイ(韓国)
…サムスンに続いて2番手にくるのがこちらの企業です。テレビでは世界トップに立っています。有機ELテレビはほぼ100%LGディスプレイ製になっています。スマートフォン向けOLEDはまだまだ成長過程です。
・BOEディスプレイ(中国)
…中国のプレイヤーです。こちらは中国政府の製造業発展計画の補助金もあり、積極投資でメキメキと力をつけてきています。
・その他多数の中国企業
…天馬微電子など今成長期にある中国企業が多数あります
・ジャパンディスプレイ、シャープ
…キャパシティもあまり大きくなく、クオリティもあまり高く無いというのが業界の噂です。
最初に紹介した3社がリーディング企業で、サムスンがダントツトップとなっています。
液晶(LCD)を製造するパネルメーカー
・BOEディスプレイ(中国)
…テレビ向けの液晶でトップシェアになっています。LGやサムスンに比べると創立が20年以上後の会社ですが、もうすでにトップに立っています。政府からの援助を受けて、キャパシティをもっているので、価格競争に強いです。そのため他の企業がワイプアウトされてしまっているという状況です。
・その他多数の中国企業
…天馬微電子、チャイナスターなど
・サムスン、LGディスプレイ
…かつてはトッププレイヤーでしたが、縮小・撤退に向かっています。中国勢にシェアを取られて採算が取れないので、彼らは有機ELにシフトしています。
・シャープ、JDI
…シャープも製造していますが、苦戦しています。
JDIも経営が危ない状況ですが、製造は小・中型のみ扱っていて、苦戦中です。
液晶は中国プレイヤーがシェアをどんどん拡大し、他の企業は縮小をしてきてしまっています。
パネル製造装置メーカー・部材メーカー
パネル装置メーカー
・平田機工、キヤノントッキ
…有機EL向けの製造装置で肝となる蒸着装置を製造しています。特にスマートフォン向けに投資されると、こちらの企業が恩恵を受けます。
・ニコン、キヤノン
…有機ELと液晶両方に露光装置を製造しています。
・日新電気、芝浦メカトロニクス
…有機EL、液晶ともに感応度が高いメーカーです。
・アルバック・東京エレクトロン、SCREEN
…有機EL、液晶、半導体もてがけています。
部材メーカー
・日東電工、住友化学
…偏光板
・ゼオン、富士フィルム、コニカミノルタ
…液晶フィルム(ディスプレイの間にパネルを挟んで機能の工場するもの)
・出光興産、住友化学、保土谷化学
…有機EL材料(自発光する他の材料)
パネルの需要が大きく上がると、こちらの3社の受注も大幅に増えますね。
・大日本印刷
…カラーフィルター
・AGC、日本電気ガラス
…ガラス基板
投資する際の注意点
こちらのディスプレイ株ですが、将来はあまり明るくなさそうです。
その理由と投資の際の注意点を説明していきたいと思います。
まず、こちらがLGディスプレイの株価ですが、過去5年見事に下がっています。
半導体株は過去5年多少のアップダウンはありますが右肩上がりです。
これをご覧いただくと、株価は半導体株とシンクロしていないということが明白です。
こちらは装置メーカーの平田機工ですが、一時期有機EL関連株としてとても盛り上がったのですが、現在は有機EL投資はトーンダウンしていて、過去3年は低調です。
ということで、注意点は
・液晶は中国の積極投資により業界の需給が崩壊してしまい、液晶を作っても儲からないという状況になっていしまいました。そうなると、パネルメーカーが儲からなければ製造装置や材料を買えなくなってしまい、関連銘柄がおしなべて調整してしまいました。
・有機ELも数年内には同様な状況になってしまう可能性が高いです。
有機ELに関しても中国は莫大な投資をして中国は覇権を取ろうとしています。
過去の流れでも一旦中国が覇権をとると政府は補助金をやめます。となると投資が枯渇する可能性が高いです。
→液晶の株価は一旦盛り上がって今はいったんお休みに入っています。
有機LEDも一旦盛り上がって、お休み、現在は少しずつ取り戻してきてはいますが、また数年内にはおやすみに入る可能性がとても高いです。
これらの理由によりディスプレイ関連株への長期投資は危険です。
短期投資もしくは、その企業に別の有望な事業が無い限り投資しないのが望ましいと思います。
いくらNewsMediaやプレゼン資料などで華やかなことが書かれていても、
長期投資するのはあまりよく無いのではないかなというのが私の考えです。
以上、ディスプレイ関連株についてでした。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!
最近は晴れていたと思ったら、突然の雨や雷驚きますね!
これからも株式投資がんばっていきまっしょい!
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「半導体が工場でどうやって製造されるのか?」、「半導体工場は水や電力等のインフラはどうしているのか」「半導体製造装置はどのように並べられるのか」、等ネットでは入手できない知識を得れます。
私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。