半導体株調査部

半導体株の分析と投資実践

3D-NANDについて理解を深めてみる!

 

こんにちは、うみがめです。 

今回は3D-NANDについて解説を理解を深めていきたいと思います。

今度する上場するキオクシアの成功の鍵は、この3D-NANDなので、

キオクシアに投資を考えている方はぜひここで理解を深めてください!

また、3D-NANDがどこまで成長できるかも東京エレクトロンにとってとても重要な分かれ道です。

それくらい3D-NANDは半導体業界の成長において重要な存在なので、これらの株を買うことを視野に入れている方、ぜひ読んでいってください!

 

そもそもNANDとは?

メモリの一種で、人間の長期記憶のような特徴があり、人間と違うところは大量のデータの保存に適しています。

スマートフォン、PC、ゲーム、サーバー(高い処理能力を求められているもの)など幅広く使われています。

NAND需要の成長率(ビット成長率)は年率30〜40%と高い成長率です。

需要が増えている理由は、かつてはHDDが主流でしたが、現在はNANDの方がデータ書き換えの回数が多いことや、データの保存量が多い点などで優れているので、どんどんHDDを置き換えていることが理由として挙げられます。

NANDメーカーはいかにコストを下げていくかがこれらからの最大の使命です。

 

 主要なNANDメーカー

サムスン(韓国)…世界トップのメモリメーカー

キオクシア(日本)…東芝メモリが名前をキオクシアと変えています

ウェスタンデジタル(米)…キオクシアとジョイントベンチャーを組んでいます

SKハイニクス(韓国) …DRAMとNANDの製造をしています

マイクロン(米)…アメリカのメモリメーカー

インテル(米)…CPUの会社で、かつてはマイクロンと共同で開発していましたが、技術的な意見の相違があり、現在は別で活動してます

 

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こちらが紹介した企業のシェアを表した図ですが、

キオクシアは2位でとても良い位置に付いています。

キオクシアとウェスタンデジタルは共同で活動しているので、実質シェアはトップになっています。

 

これからNANDメーカーでトップを取るには3D-NANDの技術が必要!

以前は2D-NANDが主流でしたが、プロセスルール(半導体のトランジスタを作る際の最小加工寸法)の微細化の限界がきてしまいました。

そこで、発想の転換!

3D化で縦方向にメモリセルを重ねれば、どんどん容量が増えるではないか!

ということで3D-NANDが誕生しました。

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2D→3Dはこんな感じで変化を遂げました。図だとわかりやすいですね。

 

3D-NAND層数

 3D-NANDは層数が高ければ高いほど、単位面積あたり高い容量を生み出すので、競争力が高いといえます。

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 *1 

2016年の4Xは、40層代を示しています。

2019年〜現在では、12Xで120層代まで成長しています。

今後は2年単位で倍以上に増えていく見通しが示されています。

 

各社の3D-NANDレイヤー(出荷予定製品)

サムスン…128層

キオクシア…112層

ハイニクス…128層(ハイニクスに関しては3D-NANDの開発に出遅れがあったので、急に大量に生産するのは難しいとも思うので、一部だけが128層で出荷されることが予想されます。)

マイクロン…90層代(インテルと一緒にフローティングゲートをしていて、そこからチャージトラップという技術変換を行ってしまったため、出遅れています。)

 

こう見ると、キオクシアは韓国勢とデットヒートしていて、かなり良いところにつけているというのが現在の状況です。

 

とっても難しい3D-NANDの製造

成膜装置…層を積み重ねることに必要な成膜装置が非常に需要が高まります。

エッチング…層に穴を開ける工程にはエッチングが必要になります。重なる層が多くなればなるほど、精密かつ微細な技術が必要になるので、とても付加価値が高まっています。

この2つの装置を持っている製造装置メーカーは、大きな事業機会があると考えて良いと思います。

 

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 こちらは東京エレクトロンのクリティカルな工程を示しているチャートです。

特に難しいのは、チャネルコンタクトという過程です。

エッチングで上から下に穴を通していきます。(決められた層を抜いていく精密さが求められる加工です。) 

コンタクトのホールですと、深さがそれぞれの層で違うので、穴を開けるのが非常に難しいです。

というところでエッチャーの付加価値が高まっているというのがNAND業界で起きている状況です。

 

その成膜装置とか、どこが主にやってるの?

成膜装置…プライドマテリアルズ(米)、ラムリサーチ (米)

エッチャー…東京エレクトロン(日本)、ラムリサーチ(米)

エッチャー自体はずっと東京エレクトロンが強かったのですが、3D-NANDに関してはラムリサーチがとても強いです。東京エレクトロンも近年挽回していますが、まだまだ頑張らなければというところです。

 

今後は層数が増えていくと穴を開ける技術(エッチャー)がキーポイントになるので、エッチャーをもっている付加価値が高まるチャンスになります。

 

まとめ
  • 3D-NANDをコスト効率よく製造できるメモリメーカー、そしてその製造装置メーカーは莫大な利益を手にすると思います。特に100層以上の3D-NANDが製造できるのは一握りの企業だと思うので、開発成功などの発表の情報収集はしっかり行っていきたいです。
  • メモリはサムスンが莫大な資金を元に先行していますが、キオクシアにもチャンスはあると思います。
  • 装置では東京エレクトロンはエッチャーを頑張っています。200層やその先に東京エレクトロンのエッチャーがメインで採用されるチャンスあるので、期待したいです。
  • 今後3D-NANDどういったレイヤー、技術ノード、構造でいくのかをメモリメーカー・装置メーカーの業績にも大きな影響を及ぼすので、これからも企業・学会の発表を技術動向などをしっかり動向を要注目していきたいと思います。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました!

これからも株を頑張っていきまっしょい!

 

半導体株や半導体業界を勉強するなら下記の本がおすすめです。

「半導体が工場でどうやって製造されるのか?」、「半導体工場は水や電力等のインフラはどうしているのか」「半導体製造装置はどのように並べられるのか」、等ネットでは入手できない知識を得れます。 

私は何年も前に読みましたが、今でも読み返します。個人的には、これほど半導体に関する有用な知識が得られた本はありませんでした。他の人より1歩も2歩も知識で差がつけられると思います。

 

 

*1:出所:東京エレクトロン