半導体株調査部

半導体株の分析と投資実践

アメリカのアドバンテスト:テラダインについて紹介

みなさん、こんにちは。

アドバンテストの長年の宿敵テラダイン(TERADYNE)についてご紹介します。

 

TERADYNE(テラダイン)とは

 こちらはテラダインの過去の株価の推移ですが、過去5年で株価が5倍以上に増えていると非常に好調です。

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そして、半導体テスタ業界で世界2位となっています。競合は1位のアドバンテストです。

テラダインはSoCテスタの特定分野で強い力を持っています。(例:車載、CMOSイメージセンサーなど)

一方メモリテスタはあまり強くありません。

近年はアドバンテストがSoCテスタにおいて非常に伸びてきているので、テラダインを押し気味です。

 

こちらはアドバンテストのシェアのチャートです。

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アドバンテストは2017年で半導体テスタにおけるシェアが36%でした。

SoCテスタは30%、メモリテスタは57%となっていました。

 

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こちらが2019年のチャートですが、全体シェアが36→55%まで急増しています。

SoCテスタが30→55%も急増しているのがわかります。

これでアドバンテストがかなりテラダインを市場から追いやっていることがわかります。

 

テラダインの強み

SoCの特定分野の中でも、iPhone向けのプロセッサが強いです。なので、iPhoneの製品サイクルに左右されやすいです。

また、CMOSイメージセンサーという半導体向けのテスタが強いです。これはSony向けに供給しています。

高周波テスト(ULTRA FLEX)での高周波分野でのテスティングも強いです。

 

テラダインはテスタ以外でも、ユニバーサルロボットという協働ロボット分野でのマーケットリーダーの会社を買収しています。マーケットリーダーの会社を買収したことで、この分野は急激に伸びています。

なので、テラダインに投資する際には半導体テスタもまだ魅力的ですが、ロボット事業も魅力です。

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協働ロボットはこんな形をしていて、人と共に動くロボットです。

 

今後の半導体テスタ業界でキーポイントになる技術

システムレベルテスト

これは、実際の仕様が想定されるシステム環境を構築し、その環境に製品を置いてテストをすることです。

こちらが従来と現在のテストフローの変化の図です。

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従来はウェハテスト、パッケージテストがメインでした。

今後その後のデバイスになったあともテストする必要が出てきました。

半導体はデバイスに組み込まれて機能します。そのデバイスに組み込まれた状態で正常に作動しなければ製品として不十分ではないか、というのが今後の課題になっています。最近は、半導体が使われる製品も自動運転やAI化など非常に高度で、ミッションクリティカルと呼ばれる重要度の高いデバイスも出てくるので、このシステムレベルテストが重要なテーマとなっています。

この技術が大きく成長した企業は、半導体テスタ市場を制覇するといっても過言でないでしょう。

 

TERADYNEの課題

・SoCテストの先端はアドバンテストに劣後

例えば、AI向けのチップや、GPU、iPhoneを除くスマートフォンなどはアドバンテストのテスタが大部分で採用されています。

半導体の未来を引っ張るテクノロジーは、あまりテラダインのテスタが採用されて無いように見受けられます。

・中国顧客が絶望的

ファーウェイやハイシリコンは元々アドバンテストの顧客でした。それに加えて米中半導体摩擦が起きているので、中国の顧客もアメリカの製品を使うのは避けますし、元々使っていなかったのでこれから新規開拓をできるような空気ではありません。

中国は政府が半導体事業に巨額な投資をしていることもあって、非常に重要な顧客になりえたのですが、テラダインは残念ながらそのチャンスを掴めなさそうなので、中長期的にはマイナスです。

・メモリテスタが今も昔も強く無い

ずっとアドバンテストが強く、またメモリ市場が熱狂してもテラダインは恩恵を受けれなさそうです。ゼロではありませんが、アドバンテスたほどでは無いというのが現状です。

 

これは現段階においての私の個人的な意見ですが、

テラダインとアドバンテストで選ぶなら、アドバンテストの方が中長期的に安定した成長を見せてくれるのではないかなと思います。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました!

株式投資がんばっていきまっしょい!

 

 

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