今回は、富士フィルム株を紹介します。
目次
- 成長事業と衰退事業が混在
- 事業ポートフォリオ改革で利益は上昇
- ヘルスケアが期待
- 富士フィルム株に適した投資スタンス
成長事業と衰退事業が混在
こちらが2018年度の売上高になります。
2兆円を超える非常に大きな売上高です。
ドキュメントソリューション(41%)は、複合機やプリンターがなどのオフィスで使われる機器です。
緑色のイメージングソリューション(16%)はデジカメやチェキなどを取り扱っています。
水色がヘルスケア&マテリアルズソリューション(43%)は、医療機器、医薬品、再生医療もこちらに分類されます。電子材料などの半導体に関わる材料の製造や、化粧品なども幅広い分野が分類されます。
この3つのうち、ドキュメントソリューション(41%)とイメージングソリューション(16%)の2つ合計60%は衰退の道を辿っています。
ヘルスケア(43%)は成長過程にあり、期待ができます。
このように、成長と衰退が混在している状況になっていますので、全体としては売上高は下がってきています。下は富士フィルの過去の売上高他の推移です。
2008年をピークに現在までピーク更新ができていません。
事業ポートフォリオ改革で利益は上昇
このように衰退事業と成長事業が足を引っ張ってしまっているため、富士フィルムは事業ポートフォリオを改革しました。それによって利益は伸びました。
富士フィルムという名前からしても、もともとの事業は写真がメインでした。デジタル化によって写真用フィルムの需要が激減してしまいました。(下表)
これは富士フィルムが主力としていた事業が無くなる厳しい状況に追い込まれていました。しかし、この時期に行われた事業改革やヘルスケアなどの新しい事業分野を伸ばす様なポートフォリオを行ったことによって、一旦は成長を遂げています。
その際に写真用フィルムの光学技術や化学的な治験、カメラ等の精密機などを活かして、現状の様な写真フィルム以外の上図のようなポートフォリオを構築することができました。
構造改革
イメージングソリューションや複写機を扱うドキュメントソリューションでも構造改革をおこなっており、人員削減でしたり、生産能力削減などを最近行いました。
ドキュメントソリューションは富士ゼロックスという会社が持っていましたが、これは米ゼロックスとの合弁会社でした。一時、米ゼロックスと富士ゼロックスが統合するという話もありましたが、結局米ゼロックスは提携を解消することになったので、富士ゼロックスから富士フィルムの100%子会社の富士フィルムビジネスイノベーションという会社に2021年4月に変わることになっています。
このように衰退傾向にある事業に対しては、躊躇なく構造改革を行っている会社です。
このような構造改革を行っているおかげで、利益は2010年大きく下がりましたが、トータルで見ると回復傾向にあります。
ヘルスケアが期待
特にヘルスケアで期待できる事業にバイオDCMOというのがあります。
バイオ薬品の生産プロセスの開発受託・製造受託を行う事業です。
世界シェアは第2位です。
バイオCDMCは平均で年率8%成長が見込める業界でとても伸びていますが、富士フィルムは倍の年率16%で成長しています。
再生医療も期待
富士フィルムは再生医療にも大切なパーツを自社で揃えています。
こういったキーパーツを持っていることを足掛かりに、今後治療薬の開発や製造受託などのサービスにも広げていくことが期待されています。
再生医療自体はまだ売上利益に貢献はしていませんが、5、10年のスパンで見ると期待できる事業です。
富士フィルム株に適した投資スタンス
下は配当推移のチャートです。
過去の推移を見ると増配を続けている企業だとわかります。
その影響もあり、下図の様に配当利回りも一定のレンジで推移していて、
下限が1%強で、上限が2%弱という形で推移しています。
こちらはPBRの推移ですが、
PBRも同様に高くて1.2倍低くて0.8倍というレンジの中で推移しています。
これらを踏まえて富士フィルム株の投資スタンスは、
・バリュー投資に適切
富士フィルムはバリュエーション水準は高くなく、過去はレンジでしっかりと推移しているというところや、状況悪化の際に構造改革が確実になされているところで利益を上げている実績があるので、株価が割安な時に買うのはありかなと思います。
ここで注意点!
短期:衰退事業があるため、ヘルケアなどの有望事業があっても全体として業績は伸びにくいです。グロス株のような高い成長率は望めません。
長期:今蒔いている種、ヘルスケアは大きく化ける可能性が無いわけでは無い!
現在富士フィルムのPBRは1倍程度ですが、ヘルスケアのサプライチェーン企業はPBRが何倍も高いです。なので、長期的に富士フィルムがヘルスケアの会社というのを市場に説得できれば、大きくバリュエーションが株価が上がる可能性があります。
このようなことを踏まえると現在のバリュエーションは低位で長期投資でバリュー投資をするのは魅力的であると言えます。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!
株式投資がんばっていきまっしょい!
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