半導体株調査部

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SUMCO株:Global Wafersとシルトロニックの統合破棄は残念すぎるニュース

2月7日、SUMCO(3436)株がマイナス10%弱の大幅下落(前場引け時点)。2/1に業界3位・4位のグローバルウエハーズ(台湾)とシルトロニック(独)の統合計画の破断が発表となり、2/6にグローバルウエハーズが浮いた買収資金で増強投資をすることを発表

 

個人的にも2/1の破断発表は残念で、嫌な予感はしていたが・・・

 

 

将来的なウエハ業界の需給悪化を懸念して株価がネガティブに反応した形。

 

結論:もともと22年の半導体株の推し銘柄はSUMCOと考えていたが、Global Wafersとシルトロニックの統合破棄、そしてGWのシェア向上への気合の設備投資発表を見ると考えをあらためる必要がありそう。

 

グローバルウエハーズ(GW)の発表の内容のポイントは以下の通り。

 

  • 2022年〜2024年の設備投資は36億ドルを想定し、相当程度のグリーンフィールドを含む
  • 増強の内容としては300mmウエハはもちろん、SiCや200mm等の幅広いラインナップで拡充予定。ブラウン及びグリーンフィールド。
  • 増強場所は欧米アジアの世界各国とのこと
  • ただ実際には増強内容や場所はこれから決定するとのこと
  • 増強の寄与は23年の後半から(ブラウンフィールドが23年後半、グリーンフィールドは早くても24年以降ではないだろうか)

GWは今の為替レートで3年間で4150億円の投資計画となり、年あたりでは1383億円となり、規模は大分大きい・・・

 

比較として、SUMCOの今期や前期は年あたりおおよそ500億円程度。先日の公募増資・グリーンフィールドで発表した投資額は2287億円。GWの投資額は市場シェアの向上への気合を感じる金額だ。

 

実際のところは4000億円の投資分の顧客をすぐに確保できるか疑問ではあるので、掲げている程は投資しないかもしれない。

ただSUMCOのように顧客としっかり握ることなく投資する可能性は十分あるし、潜在的な可能性があるだけで、今後のウエハ業界では将来の供給過剰への懸念がついて回るのは必須。

 

当面のSUMCOの業績自体は長期契約に基づくウエハの値上げもあり好調を予想する。2/9に発表予定の4Q決算も期待している。

なので好調な業績が評価されて局面・局面でSUMCO株が上昇する展開は十分あり得ると思うが、長期投資という視点ではGWとシルトロニックの統合破綻で大分魅力度が落ちた。いずれ供給過剰に落ちる確率の上昇、その深刻さが増大した印象。

 

そもそも半導体業界や世界景気は22年〜23年へ減速が懸念される環境。その中でGWとシルトロニックの統合による業界の集約、長期契約に基づく価格向上がSUMCO株の拠り所だった・・・

 

とりあえずは今度の決算を確認するつもりではあるが、ここから無理なSUMCO株推しは危険なので一旦白紙に戻して冷静に考えたい。