今回はEUVに関連する銘柄を紹介します。
目次
- EUVとは?
- EUVに関連する装置メーカー
- EUVに関する材料
EUVとは?
EUVは何の略かというと、
Extreme Ultraviolet=極紫外線
半導体は露光装置というものを使って回路を形成します。
その露光装置を作っているのが、ASML(オランダ)という会社です。
日本のメーカーも露光装置を製造しているのですが、このASMLがEUVに関してはダントツトップです。
ASMLが製造した露光装置をEUV露光装置と呼びます。(下写真)
EUVとは、
EUV光源の露光装置を用いた最先端の半導体製造プロセス
ということになります。
半導体製造にEUVが必要な理由としては、機器の機能を進化させるためにより高精度な半導体を作らなくてはなりません。露光装置の光源の波長が短ければ短いほどより微細な半導体を製造することができるので、EUVが必要になってきています。
今後、AI・自動運転などの技術が進化するには、高度・高速なデータ処理が求められるので、これからもEUVを通して製造された半導体がより求められてきます。
EUV関連の銘柄が少ない理由
- 単純に装置が大きい
→光源にも由来するが、EUV専用の工場が必要になる
- 素材や方式が変わる
→マスク系の素材が変わったり、従来は光を統轄するようなものから反射するミラーに変えなくてはならない、部材が変えていく手間がある
- クリーンさが必要
→真空空間で光を発生させるので汚れが極限まで排除される環境が必要がある
使われる素材に関しても純度の高い正確な素材を作る必要がある
このように、EUV技術を導入するためには環境を整えるために多大な投資をしなくてはならないので、一部の限定した企業のみがEUVの業界に参入できているという状況です。一方で、付加価値が高い装置なので、EUVが作れれば大きな利益が見込めます。
EUVに関する装置メーカー
① ASML
世界トップの露光装置メーカーです。
かつてはNikkonやCanonが競争していたのですが、現在は多大な投資が必要となったため開発を中断し、最先端のEUV装置はASMLがシェア100%となっている状況です。
ASLMがいないと半導体は進化しないという次元まで来ています。
ちなみに現在株価はこんな様子で過去5年では大幅に上がっています。
② レーザーテック (日本)
ASMLほどではありませんが、独占的なシェアを有します。
レーザーテック はEUV向けのマスクブランクス検査装置でシェア100%獲得しています。
マスク検査装置もEUVにおいてシェア向上しています。
競合はKLA(アメリカ)です。KLAも検査装置が強い会社ですが、レーザーテックはEUVにおいてかなりシェアを上げているので、これからの時代はEUVが主流になっていくことを考えると、レーザーテック にとってはかなりの追い風になります。
EUVに関する装置メーカーについては以上です。
2社だけ?と思われた方もいらっしゃると思いますが、現時点で上場していて、シェアがそれなりに高く、投資できる対象企業がまだまだ数が限られています。
しかし、この対象を材料の方に広げていくといくつか銘柄があるので、これからご紹介していきたいと思います。
EUVに関する材料
①HOYA
HOYAはマスクブランクスという素材を提供しています。
マスクブランクスはEUV向けなので、素材と従来と方式が変わるのと、より高い純度が必要とされます。
そのため単価が高い素材です。
EUVを量産しているTSMCのような会社は間違いなくHOYAのマスクブランクスを使われているというように、HOYAのシェアはトップです。
競合はAGC、信越化学が挙げられますが、現状ではHOYAがトップです。
②東京応化
フォトレジストや感光性接着剤を主に扱っています。
レジストは半導体を製造する際に塗布されるものです。仕組みとしては、EUV光を当ててることによってレジストが反応し、回路を形成していくというものです。
EUVのレジストは東京応化の他にJSRや信越化学がいますが、その中でも東京応化はTSMCにレジストを提供しているので、かなり有望と言えます。
③ウシオ電機
こちらの企業は今まで紹介した企業に比べシェアは高くありませんが、関連企業として紹介します。ウシオ電機は、検査装置用光源を製造している会社です。
レーザーテック がEUV用マスクブランクスを製造するために、光が必要です。その光源を作っているのがこちらになります。
④東京エレクトロン
こちらはトラック、コータ/デベロッパというレジストを塗布して、減少するようなEUV向けの装置を作っています。トラックという装置自体は東京エレクトロンが90%程シェアをしていますが、EUV向けにおいてはほぼ100%を占めています。
⑤ギガフォトン
こちらはさらにレアな銘柄で、コマツの子会社です。
こちらは露光装置に使われる光源を扱っていますが、ASLM自体が光源の子会社を持っているので、ギガフォトンのEUN向けの光源は採用されず苦戦中という状況です。
これが何らかの形でこの状況を打開できれば、5年後10年後大きな成長を期待できるかもしれません。
ここまで紹介してきた企業の中で特にASLM、レーザーテック 、HOYA、東京応化はそれぞれの分野で非常に高いシェアを有しています。そしてかなり業績インパクトも大きいので、これから長期的に成長が期待できるEUV分野ではとても有望な銘柄なので、是非チェックしてみてください。
今日もうみがめの半導体調査部を読んでいただきありがとうございました!
これからも投資がんばっていきまっしょい!
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